こんにちは、最近夢の中で敦くんとの新婚生活を順調に楽しんでいるです。今朝の敦くんは「あなたの作ったお茶漬けは世界一おいしい。毎日食べられる僕は幸せですね」ってはにかんでくれました(夢の中で)。可愛すぎて尊すぎて愛おしすぎて泣けちゃった。かわいいな敦くん、そんなに嬉しそうにお茶漬けを口の中にかきこんで、ああほら御飯粒が頬っぺたについちゃってるウフフ、って幸せいっぱいに私は白い御飯にお茶漬けの素を振りかけてお湯を注ぎました(夢の中で)。
でも夢の中の敦くんにばかりメロメロじゃだめ、ちゃんと現実の敦くんのことも愛でていかないと。そんな気持ちを抱えて、今日も今日とて私は敦くんの元へ走った。
「あーつしくんっ!」
「うわっ!また貴女ですか…!何しに来たんですか近寄らないでください!」
「そんなぁつれないこと言わないで敦くん。つれないところもかわいいけど」
「ちょっ、抱き着かないでくださいよ!僕は今仕事中で貴女に構ってる暇は……」
「は〜お仕事熱心だねえらいね敦くんお菓子あげる?うちにおいしいお菓子があるんだよ来ない?」
「子供を誘拐する人間の言う台詞じゃないですか要りません!!いいから離れて…」
う〜ん本当に真面目で仕事熱心でかわいい。いいこ。探偵社っていうくらいだし確かに何か今聞き込みとか張り込みとかそういう感じのお仕事中なのかしら……。いいなあ私も敦くんに四六時中張り付かれたり任務と称して護衛されたりしたい。そうだ!と閃いて私は離れるどころかぎゅっとその腕に抱き着いて、ちょっと芝居がかった上目遣いで敦くんにお願いしてみた。
「違うの、敦くん……実は私今、ある恐ろしい男に追われてて…護って、敦くん……」
「えっ……」
それまで煩わしそうにしていた態度が一瞬で困惑と心配の入り混じったものになる。敵組織であってもこうやって泣きつかれると揺らいでしまうその優しいところが愛おしい。悪い女に騙されないか心配だ。そんな女がいたら私が東京湾に沈めに行くけど。躊躇いつつも「それって……」と詳しく事情を聞こうとしてくれた直後、ハッと我に返ったように頭をぶんぶん振って、私の腕をまた離そうとする。
「う、嘘つかないでください!貴女絶対そういうの僕に頼らないで返り討ちにできるひとでしょう!?」
「えっそんなに私のことを理解してくれているの…?うれしい!ごめんごめん敦くん、ちょっとからかっ」
「さん!!!!!やっと見つけました!!!!」
「うわっほんとに追われてた」
「うわっほんとに追われてたわ私」
たしかに敦くんの元へ向かう前に「さんどこに行かれるのですか僕もついていきます」「さんまさかまた人虎の所へ行くつもりでは」「さん」「さん!!!」って引っ付いてきた気がしたけどちゃんと置いてきたと思ったのに。突如現れた芥川くんに敦くんも余計に警戒するように後ずさろうとする。芥川くんも芥川くんで毛を逆立てた猫みたいにシャーッてしてるし。二人を見比べて私はとりあえず、話の流れもあったのでこの状況をプラスに活かすことにした。
「たすけて敦くん!」
「いや助けるも何も芥川は貴女の……」
「貴様ッ!!さんから離れろ!!」
「なんで僕の方から引っ付いてるみたいになるんだ!?どう見ても逆じゃないか!ちょっ、貴女も本当離れてくださいよ…」
「貴様ッ!!今さんに触ったな!!」
「だからどういう判定で僕が悪いみたいになるんだ!!」
「芥川くん。貴方まだ仕事が残っていたでしょう、どうしてここにいるのかしら」
「さんに指示を仰ぎたい箇所が有ったゆえ、手を止めこうして探しに」
「ひとりでできるようになりなさい。敦くんだって今日は一人でお仕事頑張ってるんだからね」
「人虎貴様ッ!!僕を愚弄するか…!!」
「僕は何も言ってないだろ」
「もう…また報告書書けないーとかじゃないでしょうね。私書き方は丁寧に教えたと思うんだけど」
「僕はさんがいないと文字の読み書きができませぬ。平仮名も書けませぬ」
「読み書きできない人間が『羅生門・顎(アギト)』とか『羅生門・叢(ムラクモ)』なんて必殺技の名前考えないだろ」
「黙れ人虎。さんへの愛の力の為せるわざだ。さんの為なら天魔纏鎧とか黒波濤とか僕は見ないで書くことができる。愛故」
「敦くん誤解よ。私そんな物騒な必殺技の名前とか知らないわ。私だったらラブリーハピハピタイガービームとかそういうめちゃくちゃ可愛い名前つけるわ。信じて頂戴」
「いやべつになんだっていいですけど(ダサいな必殺技)」
どうしよう芥川くん愛故愛故ってめちゃくちゃ繰り返してくる。敦くんにいろいろ誤解されちゃう。恐ろしいわね、思い込みの激しい愛に狂った人間って。毎朝私との新婚生活の夢とか見てニヤニヤしてたらどうしよう、居た堪れなくて可哀想になってくるわ。
「あーうんわかった、わかった芥川くん。報告書なら後で見てあげるから。敦くんとのデートが終わった後ちゃんと見るから」
「人虎貴様ァ!!」
「誰がいつデートなんて…!」
「えっ今。敦くんの半径5メートル以内に入り同じ空気を吸った瞬間もうデートは始まっていたの」
「ならば僕とさんのデエトも始まっているということか」
「いや、芥川くんとはしてない。同じ空気は吸ってない。今私は敦くんの吐いた息を吸って生きてる」
「人虎貴様ァ!!」
「芥川お前いろいろと大丈夫か?情緒とか」
「くっ……貴様の憐れみなど要らぬ!!!今ここでその腕を切り落としてやろう……そしてその腕を持ち歩きその腕にくっついているさんと僕がデエトを続行する」
「考え方が恐ろしすぎるだろ!!ちょっといい加減に貴女からも何か言ってください!」
「敦くんの…腕…持ち帰……」
「なんで『ちょっと魅力的かも』みたいな顔で揺らいでるんですか怖いなこの連中!!ああもう付き合ってられない!太宰さん!太宰さーーん!!」
「おや敦くん、楽しそうなことしてるね。私も混ぜてくれるのかい?」
「げっ太宰」
「太宰さ」
「ダァザイサン!!!!!!!」
「声うるさいな芥川!!」
なんでこんなタイミング良いのかしらいつもいつも!私達三人の元にひょっこりと姿を現した太宰は、敦くんと、敦くんにひっついている私と、私にひっついている芥川くんを順番に眺めて、「えー?私どこに入ればいいんだい?ちゃんと敦くんの間に入りたいなあ」なんてにこにこ訳の分からないことを云ってきた。入れるわけないじゃない私と敦くんの間になんて私たちは磁石の如く強力にくっついて離れないんだから太宰の入る隙間なんて無いのよ。
「いやはや、混ざりたいのは山々なのだけれど。そろそろ戻らないと国木田くんに怒られてしまうよ、敦くん。さあさ、ちゃんもそれくらいにして」
「……そうね。太宰の邪魔のせいでデートが台無しだし、私のせいで敦くんが上司に怒られるのはまずいわ。良妻として」
「良妻って云いました?この人なんの話してるんですか?」
「フン、人虎には判らないだろう。さんはまごうことなき良妻だ。今朝も夢の中で僕の為に朝食を」
「今日の所は帰ります!じゃあね敦くん!またデートしましょう!」
「今日の所は帰ってやろう。覚えておけ人虎。さんを誑かした罪は重い」
「敦くん大人気だねえ」
「両方二度と来るなーーー!!!」
「もう、芥川くんも芥川くんなんだから。私と敦くんの時間を邪魔しに来ないの」
「何故です。今回の話の表題は『こっち向いてよさん!』とし僕とさんの"げきあまゆめ"にするとこれを書いている人間も云っていました」
「うそでしょ?ねえ嘘でしょ?私と敦くんのお話をなんだと思ってるのその人。『こっちに来ないで芥川くん』にしようか?」
##げきあまゆめ##
素敵な企画ありがとうございました!!大好きを詰めました!これからも、りのちゃんちの女の子が、りのちゃんのお話の中で、いきいきと、つよくかわいく輝いていますように!りのちゃんもりのちゃんのお話も大好き!(セリカより)