こんにちは、です。ポートマフィアで働くピッチピチの二十二歳!最近の悩みは後輩の芥川くんがやたらめったら後ろを付いてくること!お前は金魚の糞かってレベルでついてくるの!もうちゃん困っちゃう。それから悩みはもう一つあって、それは……
「あっ……貴女はポートマフィアの!……何してるんですか」
そう目の前の人虎もとい中島敦くん。彼は武装探偵社の社員で、私が思いを寄せている男の子。どこが好きなのかとか如何して好きになったのかとか、そういう話は置いといて、彼、私のことが嫌いらしい。今日は非番だからショッピングを楽しんでいたところ、多分仕事中であろう敦くんに遭遇しちゃった。これはもう運命。そう運命だよそうに違いない。私が敦くんに嫌われてるなんて嘘だよ。だって嫌いな相手とばったり会っちゃったなんて、滅多にないよね。え?ある?ああそう。まあいいや。
「敦くん!!敦くんだ!敦くんは何してるの?!お仕事?手伝おうか?あっ私はショッピングだよ!今日お休みだからね。あっ一緒に行く?何でも欲しいもの購ってあげるよ!」
「ちょっ、抱き着かないでください苦しいです買い物も行きません仕事中ですからあと貴女の手なんて借りません!」
「敦くん今日もかわいいねえ〜〜〜」
はあ〜〜〜かわいい。髪ふわふわしてるなんかいい匂いするかわいい!かわいい!そんな気持ちで抱き着いていたら「いい加減にしてください!」って怒られてしまった。怒ってる顔もかわいい。何しててもかわいい。天使!
「僕は貴女のことなんて!好きじゃないんです!」
話を戻そう。私の最近の悩み、それは敦くんに嫌われていること。信じたくないけど、好意を抱いていないことは火を見るより明らかだ。何故敦くんが私を嫌うか、そんなの簡単。私がマフィアの人間だから。私はマフィアを抜ける心算はないし、でも敦くんに嫌われたままっていうのも厭なんだけど、今のところ解決策が敦くんを捕まえて監禁して私を好きになるように調教する他ない。でもそんなことしたら探偵社からの報復が怖い。何せ向こうには憎き元同僚、太宰が居るのだ。あの太宰さえ居なければ……。
「敦くん、お待たせ」
うわ噂をすれば何とやらだ。本当にこの男は現れてほしくない処で現れる。憎き元同僚、太宰治が現れたのだ。
「やぁ、久しぶりだねぇちゃん」
「何だ敦くん仕事じゃなかったのね!じゃあ私とお買い物行きましょう今すぐ行きましょう!」
「えっ……いや、僕は仕事で……」
「こんな自殺嗜癖の変人と仕事してるなんて冗談でしょう?若し本当に仕事なら今すぐ職場を変えることをおススメするわ。あっ新しい仕事紹介してあげましょうか?ポートマフィアっていうんだけど」
「私は無視かい?ちゃん。それに、敦くんはマフィアになんて入りませーん」
「あら太宰居たの。ていうか生きてたの。どうせ敦くんに仕事を押し付けてそこの喫茶処で給仕の女を口説いてたんでしょ」
「さすがちゃん。私の行動はお見通しってわけか」
「……敦くん、本当に職場を変えることをおススメするわ」
「……太宰さん……」
「敦くんそんな目で見ないでくれ給え。確かに口説いてはいたが断られた。そして君が女の子に絡まれている気配を察知して助けにきたのだよ」
「……前から気になっていたけど、貴方、絶妙なタイミングで私の前に現れるわね。私の躰か携帯に何か仕込んでんじゃないでしょうねぇ?」
「……さぁ、何のことかな」
「白状しなさい前科持ち!」
「前科……?」
「聞いて敦くん!此の男はとんでもないのよ!以前私の躰に発信機を取り付けたの!しかも私には解除出来ないように!私に許可なく!それも仕事の為とかじゃなくて、おもしろそうだからって理由で!」
「……太宰さん……」
「昔の話じゃあないか。今はそんな、発信機なんてもの取り付けたりしないさ。もうちゃんは私の同僚ではないし、そんな機会もない」
「……機会があればやるんですか……」
「……」
「太宰さんせめて否定してください……」
「敦くん、職場を変えるのが厭なら、せめて一緒に行動する先輩は変えるべきだと思うわ」
ちなみに一日かけてに無理矢理外した発信機は粉々に、そりゃもう物凄く粉々にして太宰のご飯に混ぜてやった。何食わぬ顔で食べているのを見て悔しかったのを思い出す。腹の一つくらい壊しなさいよ……!そしてそのまま死んでしまえ!と思ったものだ。ああやだやだ、厭なこと思い出しちゃった。折角敦くんと運命の出会いを果たしたのに。折角の楽しい時間が台無しだわ!
「敦くん、私、本当に貴方のこと好きよ」
「僕は貴女のことなんて!」
「判ってる。私はマフィアの人間。貴方に嫌われていることくらい……」
「……うっ……き、嫌いなわけじゃ……」
「じゃあ好き?」
「そっ、れは……」
「敦くん騙されちゃ駄目だよ。そうやって私の心は傷ついてますみたいな顔して腹の中真っ黒だから。それちゃんが獲物を落とすときの常套手段だから」
「えっ……!」
「本当に貴方って私の邪魔をするのが好きね。だから嫌いなのよ太宰」
「私の前で昔と変わらずその手を使う君ってお莫迦さんだよね」
「五月蠅い包帯無駄遣い装置!」
「なっ……!それを何処で?!」
「その呼び名未だに傷ついてるんですね」
太宰がこの呼び名で傷つくことくらい調査済みなのだ!
「太宰のせいで折角の敦くんとの時間が台無しになったわ。今日は帰らなきゃいけないからもう行くけど、またデートしましょうね、かわいい敦くん」
「またも何もデートなんてしたことないしこれからもしません!」
「怒った顔もかわいいね。じゃ、またね敦くん!太宰はさっさと死んでしまえ!」
「ちゃんが心中してくれるなら喜んで死ぬのだけれど」
「絶対厭。それじゃあ、今度こそバイバイ、かわいい敦くん!」
「……二度と会いたくないです……」
そんなこと言って。本当は照れてるだけ。うんそう。きっとそう。敦くんとお話出来て楽しかった!次はいつ会えるかな。明日も会えるといいな。
「ちゃん、随分と敦くんにご執心だねぇ。モテ期?」
「そんなモテ期いりません……」
運命の出会いを邪魔するな!