こんにちは。です。私には最近悩みがある。それは目の前の後輩、芥川くんについてだ。
「さん、珈琲お持ちしました」
「ありがとう。ところで、昨晩の任務の報告書は?」
「……」
「はぁ……。持ってきなさい、此処で書いていいから」
「はい」
はあぁ……。珈琲なんて頼んでないのだけど。まあそれはいいや。芥川くんたら、最近一人で報告書を書こうとしない。以前芥川くんの書いた報告書を目にしたとき、あまりの酷さに「教えてあげるから私の執務室で書いていい」と云ったのだ。それからだ。矢鱈此処で書きたがる。芥川くんに懐かれているのは判るし、後輩に慕われて厭な気分になるなんてこともない。ただ、ちょっと、懐きすぎな気がする。大体、太宰は報告書の書き方のひとつも教えなかったのか。芥川くんの育ちを知っているなら、きちんと読み書きを教えるべきだ。それもこれも全部太宰の教育が悪かった所為だわ絶対そうよ。
「……出来ました」
「どれどれ……。……よく書けてるじゃない。もう一人でも平気ね」
「僕は未熟故未だ一人では……」
「嘘つかない。書けたならさっさと提出してきなさい」
「はい」
「次からは一人で書きなさい」
「……」
「返事」
「……はい」
何て不服そうな顔してるんだ。私が虐めてるみたいじゃないか。生憎私には太宰のような趣味はないのだ。ああもう。太宰の顔がちらつく。よし外に出よう。こういうときはお日様の光を浴びて、気分を上げよう。いつまでも暗い気持ちでいても仕方ない。仕事も終わったし。報告書を提出してきたであろう芥川くんが「僕も行きます」と後ろを付いてきたことは知らない。そんなこと全く知らない気づいてない。
「敦くん!」
「はい?……!貴女はポートマフィアの!」
「貴女じゃなくてって呼んで」
昨日今日と敦くんに会えるなんて!これはもう運命以外の何物でもないわ。私たちはやっぱり運命なのよ。結婚するべきだわ。いつにしようかしら。白いタキシードを着た敦くんが目に浮かぶ。とっても素敵だわ。でも袴も捨て難い。どっちも着せようそうしよう。
「……あの?」
「人虎……貴様……太宰さんでは飽き足らずさんまでも……!」
「芥川?!」
「羅生門」
ハッいけない!空想の世界に入ってしまった。芥川くん止めないと。
「こら!やめなさい」
「さん!ですが……!」
「私、云うこと聞かない子は嫌いよ」
「……っ……人虎、今日は引いてやるが次はないと思え」
「何で僕こんなに狙われなきゃならないんだ……」
「ごめんね敦くん。こわかったねよしよし」
「人虎……!貴様……!僕ですらさんに撫でて貰ったことなどないというのにっ」
「芥川がすごい顔で睨んでくるのでやめてください」
「敦くんの冷めた目も好き……」
「あの聞いてます?」
「はああ今日もかわいいねぇ敦くん」
「こんな獣畜生より僕のほうがかわいい」
「芥川お前……」
芥川くん無表情でそういうこと云うんだよね。びっくりする。今ここに太宰が居たら絶対録画されてるよ。そして一生それで揶揄うんだよきっと。最低な男だ太宰……。あっまた太宰のことを考えてしまった。太宰が死ねばいい。折角敦くんと出会えたのだからお茶のひとつでもしたい。
「敦くん今日はお仕事?お休み?」
「休みですけど……」
「わあ!良かった。私もお休みなの。ね、お茶しましょう」
「さん、今日は僕に報告書の書き方を教えるという仕事が」
「えっ芥川お前報告書も書けないの?!……僕でも書けるぞ」
「芥川くん嘘つかない。敦くんまだ十八歳なのにすごいねえ〜よしよし」
「人虎……貴様……」
「ちょっと!やめてください!子ども扱いしないでください!触らないでください!」
「敦くんなんてまだまだ子供だよお〜〜はあ〜〜かわいい」
「ちょっ、喫茶処に連れ込もうとしないで!」
「いいじゃない折角のお休みなんだし。何でも好きなもの食べて良いわよ。奢るわ」
「さん僕は無花果の西洋菓子を……」
「んー?芥川くん、敦くんに会えた興奮で忘れてたけど、私君に付いてきていいなんて云ってないからね?自分の分は自分で出しなさい」
「……僕は赤子故言葉が判りませぬ」
「お前先刻からそういう冗談云えるんだな?!」
かわいい想い人とかわいい後輩