こんにちは、最近敦くんアルバムが10冊を超えたです。今日も今日とて敦くんに会いに行くため、身支度をしようとしたら、あらびっくり。何だか世界が低い。いつもより低く見える。寝巻がぶかぶかで裾を引き摺っていた。何があったのかと鏡の前に立てばこれまたびっくり。小さくなっていた。身体が。なぜだ。心当たりが無…………ある。昨日の仕事で会ったあのおじさんだ!始終にやにやしてて怪しかったんだ。でも何時……。話し合いだけだったから触られたりなんて無いし、出されてたものにも一切口を付けていない。……帰り際の握手だ。返さないのも変だし、もう帰れるし、と差し出された手を握った。すぐ離したけど。まぁ小さくなったこと以外特に変化はないようだし、とは云えこれでは仕事が出来ないから癪だけど太宰に頼るしか無い。




ちゃん!!!」

これでは仕事が出来ないことを伝えるべく、首領の所へやって来たは良いものの、首領が目を輝かせて居る。こわい。「12歳くらいだね?丁度私が君を拾った頃だね?」「矢張り少女というのは良いものだねぇ」「懐かしいねぇ。かわいいねぇ」「そのままちゃんの時が止まらないかなぁ」こわい。

「……そういう訳で、今日の仕事は代わりの者に任せます」
「あぁ、それは了承したよ。ところで、この間エリスちゃんにお洋服を購ったのだけど、エリスちゃんはなかなか着て呉れなくてね」

いやだ。嫌な予感がする。

「そうですか。では私はこれで」
「着て呉れたら、芥川くんには黙っててあげるよ」

嫌な予感ほど中るものなのだ。それはつまり、着なければ芥川くんに喋っちゃうよってことだ。芥川くんに知られたら面倒くさいことこの上無い。絶対に追い回されるし戻るまで抱っこされるに決まってる。いや芥川くんそんなに筋力無いか。でも兎に角面倒くさいことになるには違いない。

「二着三着着て、エリスちゃんと一緒に写真撮らせてくれるだけでいいから。ね?」

まだ首領の云うことを聞く方がマシだ!背に腹は代えられない。

「……すぐ終わらせてくださいね」
「勿論だよ!エリスちゃんを呼んでくるから一寸待っててくれ給え!」

首領のこんなに楽しそうな笑顔、久し振りに見た。





「こんにちは!敦くん居ますか!序に太宰の唐変木も!」
「敦は奥。太宰の唐変木も……ん?確かに声がしたような……」
「こっちこっち!ここ!えーっと……生真面目眼鏡!」
「何だその呼び名は?!国木田だ!」
「国木田くんね!あと生真面目眼鏡は太宰が云ってた!」
「太宰ー!貴様ー!」

あれから結局二着どころか三着でも終わらず、十着は着せられた。疲れた。解放されたのはお昼過ぎだった。敦くんを見て癒されたい。国木田くんは奥へ行ってしまった。奥に太宰も居るのだろう。

「お邪魔しまーす。あっ敦くん!」
「はい……あれ?」
「こっちこっち!ここ!」
「え、……えっ?!小さい子……」
「こんにちは敦くん」
「こんにちは……」
「敦くんが挨拶してくれた!嬉しい!」
「あの、君は……、迷子?僕のこと知ってるみたいだけど、何処かで会ったっけ?」
「えっ」
「えっ」
「あっ、えっ……と、そうなのちょっと迷子で、此処に知り合いが居るから来たの」
「そうなんだ。知り合いって、」
「おやその声は」

後頭部を擦りながら太宰が出てきた。国木田くんに殴られでもしたのだろう。いいぞ国木田くん。もっとやれ。

「太宰くん!!」
「知り合いって、太宰さんだったんですね」
「えっ、敦くんこの子は」
「だ、ざ、い、く、ん!!」
「そう知人の子供でね。今日は如何したんだい?」
「迷子になっちゃって、そしたら見覚えのあるビルの前に来て、それで、そういえばここに太宰くんいるなって、”帰り道”教えて欲しくて」
「そうだったの。じゃあ地図を描くからちょっと待っててくれるかい。敦くん、少しの間見てて」
「うん」
「はい」

笑いを堪えてんじゃないわよ太宰。

「君、名前は?」
「なまえ……、えっと、
……」
「どうかしたの?」
「あっううん。知り合いと同じ名前だなって」

鈍感な敦くんかわいい!名前覚えててくれたのも嬉しい。え?同じ名前の知人かもしれないって?敦くんの知人に私と同じ名前の人間は居ない。調査済みなのだ!

「そうなんだ。その人私に似てる?」
「えっ、うーん……。挨拶が元気なところは似てる……かな?」
「他には?」
「他?他は……、そういえば顔も何となく似てる……ような……?」
「そうなの?その人かわいい?」
「うーん……、かわいい、かなぁ。かわいいというより、美人さんかな。ちゃんは、かわいいよ」

敦くんが!敦くんが!!美人って!!!かわいいって!!!名前も呼んでくれた!!!嬉しい!!!!!幸せ!!!!!

「そういえば、如何して僕の名前知ってたの?」
「えっ、あっ、あ!あのね、太宰くんが前に聞かせてくれたの。とっても良い後輩が居るんだって」
「太宰さんが?」
「うん。それで、多分、貴方のことかなって」
「そっか、そうなんだ」

うーん。この顔は「僕は良い後輩なんかじゃないんだけどな」って思ってるな。太宰がそう云っていたというのは本当なんだけど。

「お待たせ〜」

太宰が戻ってきた。

「途中まで送るから、行こうか」
「うん。敦くん、お話してくれてありがとう」
「どういたしまして。気を付けてね。太宰さんは送ったら真っ直ぐ社に戻ってきてくださいね」
「敦くんったら云うようになったねぇ」
「敦くん」
「うん?」
「貴方、もっと自分に自信を持っても良いと思うわ」
「え」
「太宰くん、行こ。敦くん、ばいばい」
「あっ、うん、またね」

笑顔で手を振る敦くんを心のメモリーに焼き付けて、太宰と共に外へ出た。はぁ、敦くん今日もかわいかった。

「何で云わなかったの?」
「敦くんって、年下に優しいから」
「成る程。名前、呼んで貰えて良かったねぇ」
「……嬉しかったわ」
「その姿のままでいるかい?」

このままなら、敦くんは私だって気付かないし、多分優しくしてくれるし、それは幸せなんだろうな、と思うけど。

「仕事が出来ないからそれは御免ね」
「そう。じゃあはい」
「何この手」
「私に触れないと無効化出来ないでしょ」
「貴方がさっさと私の肩にでも触れてくれればいいじゃない」
「それじゃあつまんなぁい」
「はぁ……。何で太宰なんかと手を繋がないといけないのかしら……」

仕方がない。あーあ、どうせ手を繋ぐなら敦くんが良かったなぁ。「カシャ」カシャ?あ、身体戻った。良かった。じゃなくて!

「今撮った?!撮ったわね?!」
「幼いちゃん、懐かしくてねぇ。つい」
「貴方本当首領にそっくりだわ!消しなさいよ!」
「嬉しくないし消さなーい」
「いつか絶対殺してやるんだから!」
「いつかなんていつまでも来ないのだよ」

楽しそうに笑ってるんじゃない!ああもう!最悪!しかし身体が戻ったからには仕事に行かなければならない。太宰なんかに構ってる場合じゃないのだ。写真はいずれどうにかして消させるしかない。

「覚えてなさいよ!」

「悪役の捨て台詞みたい」と笑う太宰なんて知らない。はやく仕事を終わらせて帰ってさっきこっそり撮った敦くんの写真を印刷しないと。



「ただいま〜」
「あ、太宰さんお帰りなさい。ちゃん、ちゃんと帰れました?」
「あぁ、うん。……敦くん本当に気付かないのかい?」
「?何がですか?」
「あの子、君のことが大好きなあのちゃんだよ」
「えっ、えええええええ?!!」
「国木田くんですら気付いていたと云うのに、君はもう少し観察眼を鍛えるべきだね」
「おい俺ですらとはどういう意味だ太宰!」

ちっちゃくなっちゃった!