どうも皆様こんにちは、最近敦くんアルバムが30冊を超えたです。
世間はバレンタイン。二月に入ってから毎日のように「今年こそ私にもあるよね?」と太宰から送られてくるメールを無視して、私は敦くんに何を贈るか考えていた。無難に溶かして固めたチョコレートがいいだろうか、それともチョコレートケーキとか、クッキーとか。悩みに悩んで、ここはやっぱり手作りだろうと思い立ち、作ることにしたのだ。そう、フォンダン・オ・ショコラってやつを。


「手前本当いい加減にしろよ」

般若だ。般若がいる。こわい。「何をどうしたらこうなるんだよ……」と中也もとい般若はボコボコと音を立てるフォンダン・オ・ショコラ(とは言い難い何か)を見つめている。
フォンダン・オ・ショコラを敦くんのために腕によりをかけて作ろうと思い立った私は、当然作り方を知らないので中也に教えを乞い、丁寧に中也は教えてくれたわけだけれど、途中仕事の電話がきて中也が席を外した間に、あとは焼くだけだからとオーブンに入れたフォンダン・オ・ショコラはなぜかボコボコと音を立て、ついでに中也の米神にも青筋を立てた。説明おわり。

「き、今日は爆発してないもん!」

中也の家のソファの後ろに隠れながら抗議の声を上げたが「あ?」と中也が睨むので私は負けた。だって中也こわい。

「……目を離した俺が悪かった」
「中也……!」
「作るな。購え。俺はもう何も教えねぇ」
「中也……」


というわけで、やって来ました、百貨店。様々な高級チョコレートが並ぶケースを眺めながら、何にするか頭を悩ませていた。

さん、僕はあの無花果のジャム入りのやつが良いです」
「あっ、これ可愛い〜。でも量が少ないかな」
さん、僕はさんからいただけるのなら量も質も気にしません」
「うーん……二箱……いや三箱くらい購えばいいか。あっでもあっちのもいいな」
さん!」
「うわ何いたの芥川くん。なんでいるの」
さんが出掛けると聞き護衛に」
「いやいらないし貴方今日任務入ってたでしょ」
「それは滞りなく終えました」
「広津のおじ様たちに押し付けてないでしょうね」
「……そのようなことは……」
「はぁー。まあいいや。云っておくけど、芥川くんのチョコレートはないからね」
「なっ……!?」
「お菓子よりごはんちゃんと食べなさい」

芥川くんは放っておいて敦くんへのチョコレートを選ばないと。あれも良いし、これも良いし、どれも良い。結局良いと思ったものを全部買った。後日中也には「莫迦か?」と云われた。莫迦じゃない。


「こんにちはー!敦くんいますか!」
「やぁ、ちゃん。その両手に下げた大きな紙袋の中身はチョコレートだね?やっと私にもくれる気に」
「あ、敦くん!こんにちは!今日も可愛いねぇ〜」
「……こんにちは」

嫌そうにしながらもちゃんと挨拶を返してくれるところ、可愛い!

「今日はね、敦くんにチョコレート持ってきたの!」
「いりません」
「チョコレートだけじゃないよ!クッキーとか、ケーキとかもあるよ。あ、これは一番オススメの一番高級なやつ」
「敦くん、それ一粒千円越えるほんとーうにお高い良いチョコレートだよ。貰っておきなよ」
「敦くん、太宰には一粒も分けなくていいからね」
「……いりません!」
「チョコレート嫌い?あっもしかしてホワイトデーのこと考えてる?それなら気にしなくていいからね。敦くんがマフィアに転職してくれると嬉しいな」
「気にしてませんし転職もしません!」
「あふしくんこれおいひいよもらっへおひなお」
「何食べてんのよ太宰!それは敦くんのよ!」
「とにかく、僕は食べませんからね!」
「敦くんのために購ったのに……。全部既製品だし勿論封も切ってないから変なものは入ってないよ。これ敦くんが好きそうだなぁとか、これは量もあって喜んでくれるかなぁとか、思ったんだけど……」
「そっ、そんな顔したって……」
「迷惑だったよね……。私、いつも自分の気持ちを押し付けてばっかりで……」
「……っ……っ……い、いただきます」
「あっ本当?!いっぱい食べて食べて!これとか中にクリーム入ってて美味しいよ。あっこれは結構日持ちするからゆっくり食べても大丈夫」

太宰に食べられたのは癪だけれど、両手に抱えたいっぱいのチョコレートは全て敦くんにあげられたので良し。チョコレートを食べる敦くんも可愛いなあ。

ハッピーバレンタイン