皆様どうもご機嫌よう。最近家の三代目電子レンジをおじゃんにしたです。暇だなぁと思って監視カメラを見ていたとき、敦くんがパン屋さんのパンを食べていたのが可愛くてこれは私もパンを作るべき! と思い立ち購い物に行ってきた次第。ちなみに監視カメラは昨晩から調子が悪いのか何も映さなくなっていた。結構良い値段のものを購ったのだけど。まあまた購えばいいか。それにしてもパン屋の出来立てパンを頬張る敦くんはとても、この地上に舞い降りた天使の如く可愛かった。
「……パンを作ってんだよな?」
「いえす! 生地も捏ねました!」
「その生地はこんな真っ青になるもんなのか? 何入れた?」
「……怒っていらっしゃる……。レシピに書いてある物しか入れてません……」
「呆れてんだよ。レシピ見てんのか? 見てんならどのレシピ見てんだ?」
初めての料理を作るときはまず中也に助言を貰うようにしているけれど、なぜかいつも怒られる。私はレシピ通りにしか作っていないのに。
これ、とそっと携帯端末を差し出して見せれば、中也は「こんなにわかりやすいレシピを見てんのになんでだよ……」と頭を抱えていた。そういえばこの間エリスちゃんと特技の話になったときに爆弾の解除と答えたけれど、エリスちゃんに「え? 中也を困らせることでしょ!」と言われた意味がわかった気がする。気がするだけなので改善する気はない。困らせようとは思っていないし。中也が勝手に困っているだけ。
「やったこと一から説明しろ」
「えーっと、ボウルに強力粉、砂糖、ドライイースト、塩を入れて、その後お湯を入れて混ぜて、捏ねた」
「本当か?」
「本当!」
「判った。俺が悪かった。いいか、よく聞け」
「はい!」
「、手前には料理の感性が壊滅的に無ぇ。パン作りは諦めろ」
「えっ……」
「作るな。購え。俺はもう何も教えねぇ」
「そんな……ヤダヤダ! 中也しか頼れる人いないの! お願い!! 作りたい〜〜〜〜!!」
「いい歳した女が駄々こねるな」
「捏ねるのはパン生地だけにしとけって?」
「喧しい。パン生地も捏ねるな。手前にパン作りは無理だ」
「じゃあ中也は出来るの!?」
「舐めんな。出来るわ」
というわけで始まりました。中也先生のパン作り教室〜! いえーい! どんどんパフパフ!! 「おい勝手に始めんな!」と言われましたが始まってしまったものは仕方ありません。中也はパン作り出来るって言ってたし。男に二言はないはず。
「はぁー……よく見とけよ」
「なんだかんだ教えてくれる中也のこと好きだよ」
「まずこれとこれとこれ混ぜるだろ」
「あっ友達としてね! 私には敦くんだけだから」
「そしたら次こうするだろ。やってみろ」
「はい! これをこうしてこう……出来ました!」
「よし、一次発酵させるからオーブンに入れる」
「はい! 見てたら膨らむ?」
「見てなくても膨らむ。見ててもいいが余計なことすんなよ」
「はぁい」
中也はこの間に片付けをするらしい。手際の良い男だ。モテそう。手際が良いこととモテることが繋がるかは知らないけど。じいっとオーブンの中を見ていれば徐々に膨らんできた。これが発酵かぁ。すごいなぁ。今なんかボンッて音したな。そして目の前のオーブンの扉が吹っ飛んでいる。
「吹っ飛んでいる??!!」
「おい手前何した?!」
「見てただけです!」
「見てただけで生地が爆発するわけ無ぇだろ!」
「本当に見てただけだもん!」
「はぁーー……。……怪我は?」
「これでもマフィアの女よ、大丈夫。オーブンは弁償するわ」
「先ず自分の家の電子レンジ購えよ……。芥川が熱心に自動調理機能付きのやつ調べてたぞ」
「嘘……私芥川くんに電子レンジ壊れたこと云って無いのに……」
「今更だろ。それと、よく聞け」
「はい!」
「手前にパン作りは無理だ。作るな。購え」
「はぁい……」
中也先生のパン作り教室、終了!
「そんなわけで作れなかったのだけど、敦くんの好きなパン屋さんのパン購って来たから今日のおやつにどうかなと思って」
「なんで当たり前のように事務所内にいるんですか?」
「乱歩さんにおやつ渡して入れてくださいって云ったら通してくれた」
「乱歩さん……」
「あ、既製品だから毒とか変な薬とか入ってないよ。敦くん今日は外回りでたくさん動いてお腹減ってるでしょ? お昼ごはんは駅前の喫茶処で済ませたみたいだけど、サンドイッチ二個は少ないと思う。もしかして金欠? 今日お夕飯一緒に行く? なんでも好きなものご馳走するわよ」
「なんで知ってるんですか?! 行きません!」
「わぁ、それ美味しいって評判のパン屋さんのパンじゃないか」
「太宰さん、お帰りなさい」
「ただいま。私も一つ貰っていいかい?」
「これは敦くんにあげたの!」
「ちゃん、耳貸して」
「…………何よ」
「敦くんの部屋にこっそり監視カメラ仕掛けてたこと、敦くんに云っちゃおっかな」
「カメラ壊したの貴方ね!」
「いや壊したのは鏡花ちゃん。あるよって教えたのが私」
「余計なことを…………一個だけ、敦くんが良いって云ったら良いわよ」
「わぁい。敦くん、私も貰っていい?」
「どうぞ……ていうか僕のじゃないですけど」
「これは敦くんにあげたから敦くんのよ。好きなだけ食べて」
「……い、いただきます」
「ドーナツ食べてる敦くん可愛い! 最高! 100万点!!」
パンを作ろう