※ムルが女体化してる
※「宝石箱」と同じ設定


リボンをほどいて天蓋ベッドのカーテンを閉める瞬間が好きだ。

世界各国から集めたお気に入りがたくさん詰まった宝石箱。ムルは数分その中を物色すると「これがいい!」とアメトリンが輝く指輪を手にした。どれを欲しいと言われても、私にはノーと言う気は一切なかった。それどころか、「他には?」と聞いた。ムルはすこし考えて、今日はこれだけでいいと言う。ムルは呪文を唱えてそれを仕舞うと、今度は私の要望通り女の子に変わる。「髪の長さは?」と訊かれて、今日は肩につかないくらいと注文すれば、すこしだけムルの髪が伸びた。

「可愛い!」

キラキラのアイシャドウにピンクのルージュで顔を彩って、髪を編み込んでリボンで飾る。パールのピアスに白い柔らかなシフォンのワンピース。ベッドに座らせたムルの足元に跪いて、淡いパープルのパンプスを履かせた。

「俺、お姫様みたい!」

ケラケラと笑うムルを見上げて、そうだよ、と返す。柔らかな丸みを帯びたムルの身体を、堪らずベッドに倒せば、それまでムルが持っていた宝石箱の中身がベッドの上に散らばる。私はそんなこと構わずに、ムルは私の、私だけのお姫様だよと囁いた。リボンをほどいて天蓋ベッドのカーテンを閉めれば、そこは私たちだけの世界。誰にも、何にも邪魔されることのない、好きなものだけに囲まれた、完成された美しい世界だった。
「抱いていい?」と訊けば、ムルは起き上がると私の首に腕を回して、唇にキスをくれる。それに応えるように舌を絡めれば、ムルが手を繋いでくる。両手を繋いだまま、何度も何度もキスを繰り返した。

「ぁ、……ん、」
「かわいい、ムル。もっと可愛いところ見せて」

惜しいと思いながらも繋いでいた手をほどいて、シフォンのワンピースに手を掛けて胸元までたくしあげれば、私が何も言わずともムルは自ら服の裾を持った。ちゅう、と一度胸元にキスを落として、私に開発されて濡れやすくなったそこに指を這わせる。下着も取り払って中に指を入れてすこし掻き回せば、ムルはビクリと身体を跳ねさせて息を吐いた。

「私の指、好きだもんね?」

宝石の海にムルの身体を沈める。ムルは「うん、好きだよ」と笑ってくれる。かわいい、かわいい、今だけは私のムル。男のムルだって嫌いじゃないけれど、少女のような幼さを残した、可憐で美しい女の子のムルはもっと好きだ。

「可愛い。ムル、大好きよ」

そう言えば、ムルはいつも「俺もが大好きだよ」と、無邪気な子供のように返してくれる。私たちのお遊びは、きっとどちらかが石になるまで続くのだろう。

(箱庭)