1−1 ここはどこ?
ナイフとフォークを握り締めていた。目の前の皿にはパープルサファイアの欠片が盛られている。こんなに食べられない、とわたしはナイフとフォークをテーブルに置いた。部屋をぐるりと見回す。誰の呼吸もしない。自分自身でさえ、生きているのか死んでいるのかわからない。どうしてここにいるのだろう。わからない。わからない、わからない。わからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからない。わか、ら、ない。
「何がわからないの?」
朝日を遮るようにムルがわたしの顔を覗き込んでいた。わたしは首を傾げながら起き上がる。「、ずーっとわからないって言ってた!」、ムルはベッドサイドの椅子に腰掛けた。わからない。何が? なにが、わからないのだろう。
「なんだろ、なんか……夢見てたのかも」
誤魔化すように笑うと、ムルも笑った。
「朝ごはん食べる? 俺が作った!」
「ムルが? 何作ったの?」
「オムレツ、チーズ入り」
「好きでしょ」とムルは立ち上がると、わたしの手首を引っ張る。はやく食べようと急かすみたいに。「わたしが起きるの、待ってたの?」、ムルはわたしから手を離すと「そうだよ。がごはんは一緒に食べるって言った!」と今度は手を繋がれる。そのまま手を引かれてリビングへ向かった。
「、起きるの遅いから俺お腹ペコペコ」
「ごめんね。起こしてくれてよかったのに」
ムルが「ほんとうに?」と首を傾げた。ムルがナイフとフォークを差し出す。わたしは曖昧な返事をしながら受け取った。ナイフとフォークを握り締める。ムルが作ったオムレツ、チーズ入り。パン。オレンジジュース。完璧な朝食だった。完璧な、私が求めている、欠点のない。完璧な、なに?
「……ねえ、ムル」
「なに? 冷めちゃうよ」
「ここ、どこ?」
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